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熱中症を防ごう ‐熱中症予防対策の基本‐ 平成21年7月7日第1版第1刷 中央労働災害防止協会より抜粋 (1)いつもと違う言動は熱中症を疑う
体温が上昇し始めて無理をしていると、そのうちに暑さの間隔がずれたり、意識がうすれたり
して、自分の身体を守るための適切な判断や行動ができなくなります。すなわち、熱中症は自分 で気づかないうちに進行してしまうことがあるので非常に危険です。 (2)初めての暑い日に注意する
熱中症の発生は、作業初日に多いことは重要な事実です。また、熱中症の発生は、例年、梅雨
入り前に始まり、梅雨明けに多発する傾向を認めます。人間が上手に発汗できるようになるには 慣れが必要ですから、それまでの間に熱中症を起こしてしまわないように注意することが重要な 対策になります。 (3)暑さはWBGT(暑さ指数)で測る
暑さには、気温、湿度、輻射熱、気流という4つの要素があります。これらを合わせた暑さの
指標としてWBGTが国際標準になっています。特に、WBGT 28℃以上では厳重な警戒が必要と されています。 (4)アルコール利尿分の水分は補給する
どのような種類のお酒であっても、アルコールは尿に水を出してしまう作用(利尿作用)があり
ます。すなわち、ビールなどで汗で失った水分を補給しようとする考え方は誤りです。一旦、吸収し た水分も、それ以上の水分がその後に尿で失われてしまいます。特に、職場から帰宅した後の 飲酒で失った水分は、改めて補給してあげる必要があります。管理者や監督者は、作業者の毎日 の飲酒や水分補給の状況を確認することが大切です。 (5)身体の表面で水分を蒸発させる
水分100ccが体表面で蒸発すれば、体重70kgの人の体温を約1℃下げる効果があります。
人はその水分を汗という形で体内から体表面に出すのが普通ですが、別に水を体表面に塗布し たり、水をかぶったりすることも有効と考えられます。ただし、湿度が高い時には、水分蒸発の 効率が悪いことに注意が必要です。 (6)作業や運動を開始する前に現場で水分と塩分を補給する
水分だけを補給すると塩分濃度が低下して熱中症にかかりやすくなります。熱中症の予防の
ためには以下に注意しましょう。 作業を開始する前から水分と塩分を補っておきましょう 作業中や運動中にも定期的に水分と塩分を補いましょう 水分・塩分はすぐに誰でも自由に飲めるように現場に準備しておきましょう (7)日よけに心がける
屋外を歩く時は日陰を選ぶようにしましょう。
屋内ではすだれ、カーテン、ブラインド等による対策が必要です。(風をさえぎらないように注意し ましょう!) (8)空調(エアコン)を上手に利用する
エアコンの設定温度は、一般的に24〜28℃くらいが良いといわれていますが、設定温度と室温
は必ずしも一致しませんので、室温計でいつでも測れるようにしておきましょう。 (9)始業前に出勤前の生活と体調を確認する
熱中症は前日の飲酒や朝食をとらない習慣が発症の原因となります。毎日のチェックや声かけ
を欠かさず行い、管理者や監督者に気軽に申告したり相談できる雰囲気を作っておきましょう。 (10)体温計を用意する
体温をわきの下で測った時、38℃以上ある場合は熱中症を疑う必要があります。職場にも清潔
な体温計を用意しておき、いつでも測れるように準備しておきましょう。 (11)熱帯夜に注意する
夜間の最低気温が25℃以上である熱帯夜が多い年には、日中の最高気温が30℃以上である
真夏日が多い年よりも熱中症が多く発生するという興味深い統計があります。このことは、1日の 中で、体温上昇を正常化することがいかに大切かを物語っていると考えられます。すなわち、働く 人々にとっては、帰宅後に体温を低下させることが熱中症の予防には非常に重要であるということ です。 (12)熱上昇を利用して気流を整える
蒸気などの熱気は上昇します。したがって、上方から排出すると効果的です。
(13)服装の通気性・透過性を確保する
襟元を開放する、吸汗・速乾素材や軽涼スーツを活用したクールビズを心がける、冷却用の保護
具や保冷服の活用を検討してみましょう。 (14)交替制を導入し、効果的に休憩する
どうしても暑さが避けられない現場では、作業者を交替させて、1人に対する1回の連続作業
時間をなるべく短時間にする様に工夫しましょう。また、休憩室には冷房、除湿機、ドリンク類、 冷蔵庫、長いすを用意して、効果的な休憩が取れるように配慮しましょう。 (15)暑さに弱いものを守る
暑さに耐える能力には個人差があります。脱水状態や塩分不足が疑われる者については、回復
するまでの間、暑熱作業を控えさせましょう。 (16)受診の際は誰かが同伴する
熱中症が疑われる場合、現場で対応せずに必ず医療機関を受診させましょう。
症状が急変する場合がありますので、休憩中も誰かが見張ってあげることが大切です。特に体温 が高く汗をかかなくなった者は命の危険がありますので、救急車が到着するまでは、涼しい場所に 移動し、やや足を上げた状態で安静とし、脳の血液循環を確保します。また、氷やアイスバック等が あれば、くびやわきの下などの大血管部位に当てて冷しましょう。医療機関を受診する際は、経過 がわかるものが同行して説明することが重要です。 |
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